題名は、文法の授業の後で、小テストをやった時の、毎回の感想です。まぁ(自分のスキルのなさを棚に上げて言いますけど)やってもやってもスカスカ抜けていく、覚えてもおぼえても直ぐに忘れてしまう、そんなボヤキです。
国語の教科書には、いわゆる「国語文法」のページが、それなりの分量あるし、また毎学期少しづつ教えるための時間もとっていますし、終わったら小テストもします。定期テストでもそこそこの点数を割り振っているのですが……まぁ足を引っ張ることひっぱること。
いや、分かるんですよ。生徒が文法の授業に「難しい」「わかりづらい」「つまらない」「眠たい」などの感想を持つことは。私自身が中学生の時もそうでしたし。(※何度も言いますが、面白くて分かりやすい文法の授業をなさる先生はたくさんいるわけで、私自身のスキル不足であることを自覚はしています。)
さて、うまくできていないのは自覚のうえで、それでも理解してほしいし、覚えてもらいたいし、そのためにいろいろと工夫したり比喩を考えたりしているわけですが、そんな苦労もちょいとネタとして上げてみようと思います。ほとんどの国語の先生方には噴飯ものの内容が多くなりますが、もし初任(に近い)の先生の参考になれば幸いです。それでは1年生の教科書の内容から順にボヤいていきます。
1年生の文法の学習の最初は、「言葉の単位」からです。つまり、①文章、談話→②段落→③文→④文節→⑤単語……と細分化させていくところからです。
①の「文章、談話」という大きな区分の「談話」という文言は、古い年代の私らからするとちょっと違和感がありますが、昨今の「話し合い」を重視する傾向から、そんな文言になったのかもしれません。昔は「文が複数あれば文章」と教えていた記憶があります。「作品」としていた時期もあったように記憶していますが、作品の一部であってもやはり「文章」でしょうから、ちょっとわかりづらいかもしれません。やはり一番単純なのは「文が複数あれば文章」なのかも知れませんね。
第2段階は「文章を文に分ける」ということですが、この文(や文節)に分ける区切りの目安である「句読点」が、「どっちがどっちだか分からなくなる」というのが1年生の半分くらいデフォルトなんですよ。とは言いつつも、意外と大人でも「あれ?どっちだっけ?」ってなるんですよ。(正解 。=句点 、=読点)そして読点の読みを聞くと「どくてん」と読むのもデフォです。
句点以外に、文で区切る目安として使うのは「?」とか「!」とか「……」です。さて、生徒に①「?」は「英語で」何というでしょう?という質問を出します。たぶん英語で教えていると思いますし、「クエスチョンマーク」は出てきますね。で、出てこないのが「!」の方です。「英語で」って言っているのに「ビックリマーク」と言い張るんですよ。(「エクスクラメーションマーク」は、習っているはずなのにクラスで数人しかわからないですね。(※これは英語の先生をディスっているわけではありませんので悪しからず)
次に②「ではそれぞれ日本語で何というでしょう?」という質問を出します。そうするとまぁ例外なく「びっくりマーク」「はてなマーク」と答えます。まぁ間違いというほど目くじら立てるほどではないですが、補足説明として「漢字三字で言うと?」と聞きます。「疑問符」の方は出てきますが、まず「感嘆符(かんたんふ)」は出てきません。こんなところから始めて、文を区切り、その次に「文節に区切る」という段階にすすむのですが、ここがまず難関です。
どの教科書にも「ね」を入れて区切りましょう、的なことが載っています。「ね」で区切ると子供っぽくなりますし、「さ」で区切ると馴れ馴れしくなりますし、「よ」で区切ると不良っぽい口調になります。
さてここで老害の話。昔々、今では見る影もなくなった凋落著しいフジテレビのバラエティが面白かったころ、「俺たちひょうきん族」という番組があり、その中で片岡鶴太郎がものまね芸人の立場で活躍していました。一芸として「浦部粂子」というおばあさん女優のまねをしていたのですが、その当時の生徒には、「鶴太郎がしてる浦部粂子のまねをすると区切れるよ」と教えていました。当時はかなりの高視聴率だったので、結構な割合で通じましたし、みんなで「浦部粂子のまねをする鶴太郎のまねをする生徒」というわけのわからない状態になってしまいますが、あれはあれで面白かったのですが、今を去ること四半世紀くらい昔で、今ではもう誰もわからなくなってしまったという、老害のボヤキでした。
こっちが鶴太郎バージョン こっちが本物の「浦部粂子」
「あたしはねぇ、この年までねぇ、こんなめにねぇ、あったねぇ、ことはねぇ、ないんです、よぉ~」ってな感じでまねするんですよ。この「よぉ~」をみんなで合わせるのがコツです。
近頃は誰も知らないし、全く通じないので、「3歳児になってしゃべってみよう」という感じで指導しています。「んとね、僕ね、昨日ね、おかあさんとね、町にね、いったんだよ。」とかいうようにしゃべってみると、それらしくなります。
そしてその文節から、さらに単語に切る時のポイントは、「て・で・た・だ」にある、ということを、以前から生徒に強調しているのですが、例によってまあスカスカ忘れてくれるのです。その説明はまた次回ということで。今回ほとんど冗談を入れる余地がありませんでしたが、そもそもそれほど面白い冗談でもないので、これでいいのだ。
ちょっと使い過ぎだなぁこれ。