ポンコツ先生の自己満へそ曲がり国語教室と老害アウトドア

中学校の国語や趣味に関する話題を中心に書いてます。

中学国語の教材・授業等

オリエンテーションと頭の体操その③

さて、前回紹介した④と、今回の⑤は、時間があればやるし、時間が無ければとばして最後の問題に行くことにしていますが、この⑤は不肖私が考えて出していた問題です。そろそろ慣れてきたころなので、引っかかる生徒がかなり少なくなってきますが、とりあえずこ…

久々に国語の話題をば・・・頭の体操続きとジェネレーションギャップ?

さて、前回の続きで授業のオリエンテーションで使う「頭の体操」その③からご紹介しようかと思ったのですが、先日の授業でちょいと衝撃的?なことがありまして、先にその話をさせていただきます。 題材は井上ひさしの「握手」です。登場人物の「ルロイ修道士…

久々に国語関連の話題をば・・・オリエンテーションでの小ネタ①

新学期が始まりまして、たいてい最初の授業では「オリエンテーション」と称して、ノートの使い方や、授業の受け方、評価評定の仕方などを説明する時間になりますね。もちろん私も最低限必要なことは伝えますが、後半はこんな内容を使って「動機付け」としま…

なるほどと思った話その2

中学校の行事の中で、非常に大切にされているのにもかかわらず、教師側も生徒側も極端に「感動的で物凄く好きだ。」という人と「できればやりたくない、嫌でイヤで仕方がない。」という人に別れる(ような気がする)のが、「合唱コンクール」です・・・はて…

なるほどと思った話その1

自分自身は置いといて、長年教師をやっていると「イイハナシダナー」と思うような先輩、後輩、同僚の一言に出会ったりします。そんな「思い出の一言」をいくつか・・・ 新人の頃に、生徒指導部→生活常任委員会担当を言いつけられました。その時の学校はまぁ…

教科書の角をつつく その1

炎上覚悟で言わせてもらいますが・・・(といっても、この文章、それほど多くの人の目に触れてもいないので、炎上するはずもないのですが)どうもこの、昨今のジェンダーやら何やら、いろいろと目の付け所が面倒くさくてしかたないのです。そもそもいちゃも…

「盆土産」についての小ネタあれこれ

前回までの「走れメロス」についてのアレコレは、こちらとしても意外なほどの長編になってしまいました。今回は「盆土産」についての小ネタを紹介していきます。これは多分1回で終わると思います。(ディスっているわけではありません。) 小ネタその① この…

「走れメロス」の読解その⑩

このシリーズもなんとその⑩になってしまいました。細かくツッコむとキリがないこの短編小説ですが、最後にまとめて授業で困った小ネタなどをまとめて書いていきます。 小ネタその1 「結婚式も間近なのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣装やら祝宴のごち…

「走れメロス」読解その⑨と訂正とお詫び

まずは訂正とお詫びからさせていただきます。このシリーズの⑤で、フィロストラトスの「今はご自分の命お命が大事です。」という言葉を、「原典にはない」と書きましたが、これは誤りで原典にもちゃんとありました。こちらの勘違いでした。大変申し訳ありませ…

「走れメロス」の読解その⑧

生徒がよく読み違いする箇所として、「刑場で二人が殴り合った後、うれし泣きにおいおい泣いたのはなぜか?」という発問に対し、①「間に合ってセリヌンティウスの命が助かったから」という答えが多いのですが、これは違いますね。同じく②「メロスが許しても…

「走れメロス」の読解その⑦

小説は、大抵何らかの変化を書くもので、前回述べた内容を使うならば、走れメロスは「人間不信で顔面蒼白になったディオニスが、人間らしさを取り戻して羞恥で赤面する物語」とまとめることができるかと思います。同じくメロスで言うならば、「激怒で赤面し…

「走れメロス」の読解その⑥

以前このシリーズで書いたように、太宰はディオニスを、原典通りの「リアルガチ暴君」→改心、という流れではなく、善良→闇堕ち→善良、という意識の変化に書き改めました。また、メロスについても、原典通りの「徹頭徹尾神の加護を得た勇者」ではなく、ディオ…

「走れメロス」の読解その⑤

フィロストラトス(年齢不詳)の言動を並べてみると、確かに支離滅裂なところが目立ちます。ちょっと引用してみますと・・・ 「もう、だめでございます。むだでございます。走るのはやめてください。もう、あの方をお助けになることはできません。」「ちょう…

「走れメロス」の読解その④

原典「人質」と「走れメロス」の変更点について、これまでに 変更点01 原典では書かれていない、ディオニスの人格変化が書かれていること。 変更点02 原典では話を聞いて感動しているが、太宰は実際にその場で目撃させている。 ・・・の2点について考察して…

なんちゃってキャンパーの密かな楽しみその4

走れメロスについて書こうと思ってたのですが・・・ ずっと雪が降らないでいた北海道も、ついにまとまった雪が降り、根雪になるようです。ある晴れた日の午後、思い立って「キャンプとは言わないまでも(というかそもそも冬装備がないので)ちょいと外でメシ…

「走れメロス」の読解その③

さて、前回からの続きです。もともとは寛大な王であったディオニスが、なぜ「邪知暴虐」「奸佞邪知」の暴君になったのか?これは授業の中でも軽いジャブとして有効な発問ですが、前回書いたとおり、この部分は原典になく、全くの太宰の創作になります。「若…

「走れメロス」の読解その②

前回ご覧いただいたように、「走れメロス」と、その原典?であるシラーの「人質」を見比べるとさまざまな変更点があります。当然太宰治が、何らかの意図を持って変えたのだ、と考えるのが普通だと思います。まずはその相違点のうち、主だったところをピック…

「走れメロス」の読解①

えーと・・・とうとう禁断の教材に手を出すことにしました。 日本中の中学生を含む老若男女に熱狂的ファンが多く、下手なことを書こうものなら罵詈雑言脅迫怨嗟の声を浴びせられること請け合いの、「太宰治」です。何度も言いますが、個人的に特に太宰に詳し…

「少年の日の思い出」の思い出その⑦

今さらですが、もう一度主人公が来た時の、一連の表記を振り返ります。 「壊れた羽は丹念に広げられ、ぬれた吸い取り紙の上に置かれてあった。しかし、それは直すよしもなかった。触覚もやはりなくなっていた。そこで、それは僕がやったのだ、と言い、詳しく…

「少年の日の思い出」の思い出その⑥

前回の続きです。さて、山場である主人公とエーミールが対峙する場面で、90%の国語教師がするであろうQ3、『エーミールの言った「そうかそうか、つまり君はそんなやつなんだな。」の「そんなやつ」とはどんなやつという意味だと思うか?』に対するA3…

「少年の日の思い出」の思い出その⑤

※しつこいようですが、表記については原文のドイツ語に当たればはっきりすると思いますが、そんな気力も能力も無いので、あくまでも「日本語訳」の表記にこだわった茶々読解について述べていきます。 「二重にしてくびにかける数珠」「ここではきものを脱い…

「少年の日の思い出」の思い出その④

教科書を読んでいて、今回また新たに「気ーづいちゃった気ーづいちゃったわーいわい(©デッカチャン)」ってことがありました。何かというと「微妙な教科書の記述の変化再び」です。「少年の日の思い出」の旧記述では『僕は、「床にお入り。」と言われた。』…

「少年の日の思い出」の思い出その③

皆さんご存知のこの小説は、主人公が闇の中で、自分の集めたチョウの収集を一つ一つ指で粉々につぶしてしまうシーンで終わります。 僕は、そっと食堂に行って、大きなとび色の厚紙の箱を取ってき、それを寝台の上にのせ、闇の中で開いた。そして、ちょうを一…

「少年の日の思い出」の思い出その②とお詫び

えー、まことに申し訳ありませんが、前回アップした「少年の日の思い出」の思い出①の中に、改めて読み直すと重大な誤りがあったことがわかりまして、ここに訂正させていただきたいと思います。(汗) 何のことかというと、昔の思い出に、実にもっともらしい…

「少年の日の思い出」の思い出その①

それにしても、考えて見れば毎年何万人という中学生が読み、そしてもう何十年も続いているのだから、「少年の日の思い出」とか「故郷」とか「走れメロス」とか、ものすごいロング&ベストセラーなんですね。日本のほとんどの人が読んでいる、と言っても過言…

教科書の中の微妙な表記の変化について

さて、前回「星の花の降るころに」の凡ミス(自習時間の後に「給食なしで」いきなり昼休みになっていた点)について、教科書会社に電話したときに、せめて「自習時間」を「給食時間」に直すだけで解決できますよ?と一応提案したのですが、採用されなかった…

「モアイは語る」についての「禁断?の授業」

2年生の説明的文章で「モアイは語るー地球の未来」という題材があります。以前のブログで「筆者のドヤ顔がうかがえる」という、見ようによってはまことに失礼な内容を書かせていただきましたが、今年度の授業をするにあたって、とうとう教科書の扱いのタブー…

「星の花が降るころに」についての考察その4

ご覧くださっているごく少数の皆様。お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。さて、いかにネタが少ないとはいえ、見え見えの引っ張りはこれくらいにして、いきなり本題に入ります。前回提示しました「星の花が振るころに」の中のこの表現、「サ…

「星の花が降るころに」についての考察その3

改めて言うのも変ですが、私はほとんど教材研究をしたり、指導書見たりはしません。その上で、教科書の文章表現だけから以下のことを述べています。したがって、ちゃんと教材研究をしていたり、指導書を確認している先生方にとっては、今私の書いている内容…

「星の花が降るころに」についての考察その2

さて、色々突っ込んで読みたいところが満載のこの小説ですが、調査したわけではないし、詳しく教材研究をしたり、指導書を読んだりもしていないけれど、単純に文章表現だけから読解して、「ここ面白いところなんだけど、あまり触れている先生がいないなぁ」…