ポンコツ先生の自己満へそ曲がり国語教室と老害アウトドア

中学校の国語や趣味に関する話題を中心に書いてます。

こんな雑談をしてきたその12(魯迅「故郷」でのうさんくさい風水の話)

私は昔からオカルト的なもの、宗教的なもの、民俗学的なものが好きでした。大学の卒論を「鬼」について書いたほどです。(多分担当の教授はイヤ~な気持ちだったことでしょうね。)柳田国男も好きでよく読んでいました。また、江戸川乱歩賞を受賞した、井沢元彦の「猿丸幻視行」を読んで、折口信夫にも興味を持ったのですが、ちょっと難しすぎて挫折してしまいましたテヘペロ

同じくオカルト系の漫画も好きで、荻野真の「孔雀王」、諸星大二郎の「妖怪ハンター」「孔子暗黒伝」「諸怪志異」、「暗黒神話」、星野之宣の「宗像教授伝奇考」、奥瀬サキの「低俗霊狩り」、永久保喜一の「カルラ舞う!」などなどを読んでいました。特に孔雀王はツボで、今でも光明真言不動明王真言は覚えていたりします。(←しかしこれ、よくよく考えたら厨二病丸出しですな。)

小説では、夢枕獏全般、特に九十九乱蔵のシリーズ。(影響をうけて「ごついビブラムソールの、ダナーのブーツ」を買ったりしてたのも、今となってはかなりイタイ。まだ履いてますけどね。)や、ちょっと系統は違いますが半村良の「嘘部三部作」や「伝説シリーズ」なんかが好きでした。その他伝奇推理物ももう好きですきで。

で、その流れから(どんな流れだよ)国語の教材の中で、陰陽道やら風水やらに関連する話が出てくると、ついつい脱線してリアルに余計で誰得な、マニアックな知識を授業にブッコんでしまうんですよ。(そんな話あったっけ?と思われるかもしれませんが、ほとんどこじつけのように関連させてしまえばこっちのものいろいろとあるのですよ。)

例えば「故郷」の中での、閏土の名前についてのこのくだり。「閏月の生まれで、五行の土が欠けているので、父親が閏土と名づけた」云々。さぁここで陰陽五行説の基本的な説明で張り切ってしまうわけですよ。自己満へそ曲がり流のヲタク風味としては。

エヘン。まず「閏月」とは何か。日本でも江戸時代までは「太陰暦」を使っていた。これは満月から満月までの日数を、文字通り「ひと月」として暦を作っていたのだが、これだとひと月が28日とか29日になるので、1年たつとだいぶ365日からずれてくる。それで何年かにいちど、13か月ある年を作ってリセットしていたんだ。その増えた月を「うるうづき」というのだよ。「へー。(ハナホジ)」

で、次に「五行の土が欠けて」ということの意味なのだが、まず中国では昔から、いろいろなことを「陰陽五行説」で説明をつけてきたんだよ。まず「陰陽」だが、こんなマークを見たことないかい?

「勾玉?」んー、関係はあるかもしれないがちょっと違うな。これは太極と言って、古代中国では、この世のいろいろなものは基本「陰」と「陽」からできている、という考えなんだ。例えば2つで1セットのものって、何がある?「天と地」「男と女」(←これ、今だとマズイんでしょうかね?やな渡世だな。)「奇数と偶数」そして「昼と夜・・・ということはいいかえれば?」「太陽と月!」

そうだ。太陽つまり「日」が陽で「月」が陰。だから地球が太陽を一周するのが「太陽暦」、お月様の1サイクルをひと月とするのを「太陰暦」と呼ぶわけだ。この「日」と「月」を覚えておけよ。

そして、陰陽をさらに細かく(←ここがちょっとあやふやだけどどうせわかりゃしないから)5つの元素に分けて考えるわけだ。その5つの元素を、「五行」、合わせて陰陽五行説というのだよ。さて、ではその5つの元素とは何だと思う?

「火!」うん。「水!」うん。「土!」うん。「風!」あー、それはヨーロッパの方の魔術の4元素だな。「木!」うん。あとひとつ。「なんだろ、雷?」違う。答えは金だ。ゴールドではなくメタルとか石とか固いもののことね。

つまり木火土金水(もっかどごんすい)が5つの元素なんだが、何か気づかないかい?「あ!曜日だ!」そう、日曜、月曜日、火曜日・・・土曜日というのは、これから出ていたんだよ。「へー!」

さらに言えば(ここで「さらにいう」から、授業がどんどん遅れるわけですが)この5つの元素は、お互いに生み出したり、殺しあったりする関係にあるんだよ。こういう関係ね。↓

木をこすり合わせるとどうなる?「火ができる!」ものが燃えると?「灰=土になる」土の中から?「金属が出てくる」(※金から水が生まれる、がわかりづらいのですが、北海道人にはこれでわかる)冬の朝、窓とかのガラスに水がついてるだろ?「あ、結露!」で、水をかけると?「木が育つ!」というのがお互いを生み出す「五行相生」というんだ。「ほー!」

逆に殺す関係でいうと、水は?「火を消す」火は?「木を燃やす!」戻っちゃだめだよ。火は金属を溶かす。金属は?「木を切る」木は?「土に根を生やして入り込む」土は?「水を吸い込んでしまう」これがお互いを殺す「五行相克」という関係だ。「あ、真ん中に星型!」そうだね。これを五芒星といい、おまもりや占いやまじないでよく使われる図形だね。「はー!」(ここで終わっても説明としては十分なのに、さらにいらんことを教えたくなる自己満流)

ところで、これらにはそれぞれ色が付いているんだが、木は?「緑!」じゃなくて青ね。「え~?」火は?「赤!」じゃなくて朱色ね。「え~!」土は?「茶色!」じゃなくて黄色ね。金は?「金は金色!」じゃなくて白ね。「何それ!」水は?「水色?」水は黒で、玄と表します。「どゆこと??」

さらに方角も表しまして、木が北、火が東、土は中央、金が南で、水が西を指します。そしてそれぞれの方向を守る神様のような獣がいます。青は?(このあたり、ゲームとか漫画好きな子にはピンとくるようですが)「青龍!」朱は?「朱雀!」黄色も龍なんだけどね。黄龍ね。白は?「白虎!」玄は?「玄武!」そう、玄武岩の玄武ね。「ふーん?」(長くなりましたが、次が最後で、やっと国語っぽくなります。)

で、方角だけじゃなくて、季節も表します。火の季節は?(火から始めるのがポイントなんですよ。)「夏!」なので夏のことは朱夏と書いたりします。土は土用です。この順で行くと、金の季節は?「秋!」秋は白なので、「白秋」と表しますが、なんか聞いたことないですか?・・・(しーん。残念。)

 なんかこんな感じのコメディアンがいた気がする。

北原白秋という有名な詩人がいるんだが、聞いたことは?・・・ない?あら残念。そして黒の季節は冬なので、冬を「玄冬」と表したりします。

さて、では春は何色でしたっけ?「青!」ということはつまり?「・・・青春!あ~なるほど!」・・・おあとがよろしいようで。(このあたりもう伝統芸と化してます。そしてまた10分ほど授業が遅れるという。もうね、バカかと、アフォかと。)次回はさらにマニアックな雑談のお話です。よろしければまたお付き合いください。

皆様よいお年を。