さて、前回含みを残した「わしも考えた」覇権アニメ?その2はこれ。「メダリスト」
周りからは何のとりえもないと思われていて、何にも自信を持てなかった小学生が、好きで好きでしょうがなかった「競技フィギュアスケート」の世界に飛び込み、「始めるには遅すぎる」と言われながらも、同じく「始めるのが遅すぎた」と言われていた青年コーチによって、才能を開花させていく、そんなお話です(・・・・・・・と、まとめて大丈夫でしょうかね?ガチ勢の皆さま←ガチオタの以下略)
大きなくくりでは「スポコン物」になるでしょうか。私にはよくわかりませんが、スケートのテクニックや、採点の基準、ジャンプの種類などの解説も非常に本格的な内容でしたし、クラブチームの雰囲気なども、「多分そんな感じなんだろうなあ」と思わせる、リアルな印象を受ける作品です。ふたりの「遅れてきた天才」は、この後どんな成長を見せ、どんな活躍をするのか、感動もしますしギャグパートもなかなか面白く、次回が待ち遠しい逸品です。
とはいえ、前回の「悪役令嬢転生おじさん」と違って、見ているとかなり精神的にキツイです。というのもこの「メダリスト」、言ってみれば「挫折の連発」なんですよね。そりゃあ「挫折からの復活」はなんであれストーリー物の王道ですし、このアニメに限った話でもないのですが、何と言ってもこのアニメ、主要登場人物が小学生なんですよ。あまり早いうちから、出る子供出る子供次々に挫折していくの見るのは・・・・・・ねぇ?(何がねぇ、だよ)
どの子も「がんばれ、がんばれ」と応援したくなるお話でありますが(この辺りから炎上案件含みだします)見ていて気になるのがいわゆる「クラブチーム、〇〇ジュニア」とその周辺のことです。
私も長年いろいろな部活動の顧問をやってきたので、数多くのジュニア上がりの小中学生を見てきました。そしてその保護者も。
この「メダリスト」を見ていて、結構ハラハラするのがコーチの司先生です。いや、とてもいいコーチなんですよ。(私と違って)パワハラめいた指導は一切無せず、びっしりマンツーマンで、体のケアもしっかり見ているし、押しつけがましいことも無理なことも言わず、自信のなかった主人公のいのりさんをしっかり成長させています。
ただ、現実ではこうはいかないでしょう。近頃は出てきませんが、始めの方の話で子供を連れてきた母親達が、司先生の指導方法にブツブツいうシーンがありました、「ひいきしてる」とか言われるよと、先輩のコーチも心配してました。確かに最近のコーチをしている様子は言われても仕方がないレベルに見えます。そもそも他の子のコーチしてるのかな司先生?絶対裏でいろいろ言われてると思いますよ。で、思い出すのがいろんなジュニアの子とその保護者のこと。
保護者で言えば、バスケの試合中、審判の笛に大声で文句を言う人とか、「なんでもっと練習の日数を増やさないんだ」と管理職に電話してくる人とか、それこそ「なんでうちの子をレギュラーにしないんだ」と怒鳴りつけてくる人とか。直接見たり、言われたり、知人からボヤかれたりと、まぁ本当に身近な「あるある」なんです。
とはいえ、私らの年代は「巨人の星」の星一徹がデフォの世代ですから、偉そうなことは言えませんけれど。思えばあれって虐待もいいところで、コンプライアンス的に今再放送できるのでしょうか?
以前にも書きましたが、部活動の顧問の先生は、必ずしもその競技に詳しいわけじゃないし、好んで顧問をしている人ばかりじゃない。それなのに「未経験の競技の指導を高いレベルで強いられる」ことがあり、先生方が病んだり辞めたりする原因のかなり多くの割合を占めています。それで食べてるプロのコーチと一緒にされては困ります。大前提として、「そもそも業務ではない」のですから。
もちろん保護者の方々が大変なのはわかります。主人公のお母さんも、やはりフィギュアをやっていて怪我でやめたお姉さんがいて、その時からずっとお世話している。お金も時間も半端なくかかるでしょう。多分私の家だったら金銭的にパンクしてます。いろんなジュニア競技の保護者の方々が時間的にも経済的にも大変なこと、そして大変であるがゆえになんとしても結果を残したい、と考えるのもわかります。
ですが!学校の部で活動している生徒ならば、まだしも部活の中で指導を入れられるのですが、外部のクラブチームとかで活動している生徒で、「おれは将来この競技で食っていくから授業だの生活態度だの関係ねえ」とばかりに、指導に従わず我が儘放題勝手気ままな振る舞いをする子を、何人も見てきました。酷い子は本当にヒドイ。ええ,こう言ってやりたいですよ。
(←このあたりが炎上案件①)
最近の様子はよくわかりませんが、大昔は成績に関係なく「部活動推薦」と称して、学校での生活態度も成績も関係なく「競技の能力さえあれば私立高校に行ける」ことが確かにありました。「なんであんな悪さばかりしているヤツが、勉強もせず高校に行けるんだよ!」「〇球がうまいってだけで、なぜそんなに偉そうなのよ!」と思っている子はたくさんいました。(〇の中が、野なのか蹴なのか羽なのか籠なのか排なのか、、あるいはその他なのかは想像にお任せします←炎上案件②)最近はそう簡単ではないようですが、野放図な学校生活を送ってきておいて、3年生の2学期くらいから「おれこれから生活真面目にするから〇〇高校に推薦してくれ」とか言ってくる厚かましい子が(炎上案件③)昔はたくさんいました。
もちろん、他のうまく出来ない生徒を教えてくれたり、リーダーシップを取って活動してくれたりするジュニア上がりの良い子もたくさんいたことは強調しておきます。(どうしても悪い方ばかり目についてしまうのが、これまた「教師あるある」かも。)
全ての子が大谷翔平みたいに立派なわけはない。(大谷さんも花巻東ではそうとう絞られての現在の活躍と聞きましたが、ここで例にあげたようなヒドイ生徒ではなかったでしょうね)ですけれども、「ちょっとスポーツが出来るくらいで(←炎上案件④)特権階級にでもなったようにイキリまくる」って、全く意味がわかりません。でも、リアルにいるんですよボクシングの亀〇一家みたいな人たちって。
お約束
そもそも、知っているかぎり前述のような乱れた生活を送っていて、その後大成した子は一人もいません。せいぜい甲子園出場とか、全国大会出場くらいまでですね。少なくともプロになったとかオリンピックに出た、という子は、少なくとも私は知りません。いわゆる「ざまあ」です(←炎上案件⑤)もちろん、大成しなかったからと言って、私らや他の生徒が在学中にかけられた迷惑が、帳消しになるわけではないのですがね。
謙虚に、とまでは言いませんが、傲慢にはなってほしくないものです。(いのりさんはそうはならないと思いますが)
兼好法師が徒然草の中で、「友とするに悪き者」として「猛く勇める兵(つわもの)」を挙げているのは、ひょっとしてこういうことなのかも知れないと、「わしも考えた」のでありました。
結論 ボヤキやら恨み言ばかりで長文になりましたが、「メダリスト」自体に一切文句はありません。すごく面白くて感動的なアニメです!