ポンコツ先生の自己満へそ曲がり国語教室と老害アウトドア

中学校の国語や趣味に関する話題を中心に書いてます。

老害のつぶやき 野球についてその2(巨人の星)

ご案内の通り、還暦老害ジジイである私が、今よりずっと若かったころ(ビートルズの「Help!」を思い出しますね。When I was Young so mach younger than today〜)北海道の小学生男子は8割方YGマークのついた黒いキャップをかぶっていました。たま〜にお父さんの趣味なのか、HTマークの帽子をかぶっている子もレアキャラとして存在しましたが、今の北海道の子のように、ファイターズの帽子をかぶっている子など一度も見たことがありませんでした。(そもそも当時ファイターズだったかどうかも記憶がありません。まだ東映フライヤーズとかだったかもしれません。スワローズは間違いなく国鉄スワローズでしたが。)

当時プロ野球チームのない北海道としては、どこかを応援するなら強いところ、ということもあったのでしょうが、やはりひとつは「ON」の人気だったと思います。やはり王、長嶋という当時の超ビッグスターの影響は凄まじかったのですよ。で、大人はそれとして、子供の人気は絶対に「巨人の星」のせい?おかげ?でしょう。

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  星飛雄馬           花形満        (誰だおまえ?)


もちろんそれ以前にも、巨人軍をメインにした野球マンガはいくつかあったようですが(調べたら「ちかいの魔球(ちばてつや!)」「黒い秘密兵器」など)それらの中でも「あしたのジョー」と共に「巨人の星」を、私達小学生(やそろそろ増えてきていた「大きなお友だち」)が少年マガジンの発売を、どれほど楽しみにしていたことか 。まぁ確かに、負けてばっかりのチームに主人公を入れたら、漫画にはなりませんわな。おまけにリアルヒーローのONもいるし、漫画で勝ちまくっても、それなりにリアリティがあって、パラレルワールドの話のように感じさせてくれたものです。

とはいえ、「ちかいの魔球」という題名からわかるように、やっぱり「必殺技」としての「魔球」は欠かせなかったようです。その破天荒な魔球と、リアルな王や長嶋や川上(監督)が出てくるという、パラレルワールドチックなコーフンがありました。そして合わせ技としての「特訓」も、小学生はよく真似していましたね。当時青少年が体を鍛える道具としてよく使われていた「エキスパンダー」のバネをはずし、「大リーグボール養成ギブス」もどきを作っていた小学生を2人記憶していますw(そういえばブルーワーカーってのも結構流行ったなぁ。貧弱な坊やと馬鹿にされていた、ってヤツですね。)とはいえ、さすがに小学生でもちょっと現実的な生徒はいるもので、高学年になると大リーグボールについて疑問を抱く子が多くなってきました。(以下、巨人の星を知らない人には全く伝わらない話が続きます。)

そもそも大リーグボールは、星飛雄馬の投げる球が「スピードがあり、コントロールは抜群なのだが、球質が軽く、バットに当たると軽々と飛んでしまう」という欠点を克服するために生み出されたものです。大リーグボール1号は、その軽い球質を逆手に取り、わざとバットを狙ってぶつけ、跳ね返った球でアウトを取る、というものでした。一応ライバルの花形満が顔の正面にバットを構え、ビーンボール(故意に頭を狙った死球)ではないか?とクレームをつけたのですが、審判団の前もっての協議の末セーフだと(かなり無理筋な)説明をつけていました。花形はまた、投げた瞬間にバットを体の後ろに隠す作戦にも出ましたが、そもそも色々な特訓で、打者がどこにバットを出すかを予測できるようになった飛雄馬は、バットを狙わず普通にストライクをとる、ということで対処しました。さて、最終的に別のライバルであるアームストロング・オズマがまず一度ストライクゾーンにバットを出し、そこに投げ込んだボールをものすごい早さでバットを引き、同じコースをスイングする(見えないスイング、と言ってましたね)ことでホームランにする、という方法で大リーグボール1号を攻略しました。アホな小学生は「なるほど~」と納得したものですが、ちょっと賢いヤツはすぐに矛盾に気づいてましたね。皆さんおわかりですか?・・・そうです。花形の時の対処と同様に、「どこにバットが出るか分かっているなら、そのコースを外して投げればよい」のですw

同様に、大リーグボール2号、いわゆる「消える魔球」についても、「そもそもストライクゾーンに来た球が、地上すれすれまで落ちて、そこからまたストライクゾーンに浮き上がってくる」などという、Ωを逆にしたような、すさまじい変化をさせられるのならば、「別に球を消さなくても、変化球投手として十分通用するんじゃね?」と思っていた子どもは日本中にたくさんいたはずです。

大リーグボール3号。「アンダーハンドで超スローボールを投げ、あまりにもふわふわと飛んでいるので、バットスイングの風圧で球がバットからよけてしまう」というものでした。これについても、「バッターがスイングしないで強く息を吹きかければ、球が全部ストライクゾーンから外れて簡単にフォアボールになってしまうんじゃないか?」という、激しく簡単な攻略法に気づいた子もいましたね。

まぁそもそもマンガにリアルを持ち込むのは野暮だとわかっていますが、そういう無理筋があったにしても、「巨人の星」は面白かったです。とはいえ、その後の「侍ジャイアンツ」の番場蛮の投げる「ハイジャンプ魔球」「大回転魔球」はそもそも投げるたびに「ボーク」だと思うし、「分身魔球」はおそらく「ボールに加工する」という反則投球になるのではないか?と、登場した当初から、「巨人の星」の時より少し大人になっていた我々の間では定説になっていましたね。(アストロ球団の話はやめておきましょう。ただ、長嶋や金田が監督として完全に悪役に回っていたのはちょっと目新しかったですね。)

  

投げるかなり前にプレートから足が完全に離れている、投げる前に横や後ろを見ている、投げる前に故意にボールを変形させている・・・アウトですよねw(と思ってググってみたら、結構論争になってたようです。世の中の多くの人が違和感を感じていたんですね。)

長くなってしまいましたが、とにかく野球好きの少年達にとって「巨人の星」は一時期間違いなく「バイブル」でした。それにしても、「星飛雄馬」というネーミング、話の中では「前のめりに死んでいった坂本龍馬から取った」とされていましたが、実は「ヒューマン=人間的な」という意味だ、と何かの本で読んだ時には軽く感動を覚えました。確かに巨人の星の最後は、人生とは何か、について考えさせる終わり方でしたね。と共に、「星一徹」も、「星明子→明星」も、実に深いネーミングだと思います。原作者梶原一騎は、実はあまり野球に詳しくなかった、という説がありますが、少なくともネーミングセンスは「すごい」の一言に尽きると思います。

巨人の星」を初めとした、マンガの話だけで長くなってしまいました。が!野球についてその3に続きます。老害が思い出す、昭和のどうでもいい雑談話でよろしければ、また読んでやってください。どっとはらい