ポンコツ先生の自己満へそ曲がり国語教室と老害アウトドア

中学校の国語や趣味に関する話題を中心に書いてます。

目からウロコの話(気づかなかったあぁ~!)

かなりブログの投稿が滞ってしまいましたが、サボりまくってちょいと忙しさにかまけておりました。さて、久しぶりに教科書の話題です。(もうとっくに忘れられてしまってると思いますが、一応現役中学校国語教師です。)物語とかではなく、3年生の文法教材を扱っていて、生徒の言動によって目からでっかいウロコが落ちた話です。

現行の教科書では、1,2年生で基本的な文法の内容を終え、3年生では品詞の見分けができる前提で、実質の日常会話や書き言葉に活かそうという内容なのですが、このような問題が出されました。

「すいかと桃を3つ買ってきて。」と頼まれて、買い物に出かけた男の子。結果は左の絵のとおりであった。(※すいか3個桃3個買ってきて、母親に「すいかは一つでよかったのに。」と言われてガッカリしてます。)母親は、どのように伝えるべきだったのだろう。」という出題です。さて、おわかりでしょうか?

実はこの母親のオーダーの出し方では、ざっと4通りの買い方が発生します。

その① すいか1桃3 その②すいか3桃3 その③ すいか1桃2 その④ すいか2桃1。その③、その④は、あまり一般的な解釈ではありませんが、まぁ拡大解釈をすればそうとも「とれなくはない」ですよね。で、生徒に聞いてみたわけですよ。みんなはお母さんからこう言われたら、何を何個買ってきますか?と。そうすると意外なことに、その①よりもその②の方が多かったんですよねw 「君らのお母さんは子供にお使いに行かせて、すいか3つ運ばせて平気なのかねw鬼だなww」と冷やかしたりして授業を進めましたが、本題はここからです。

このオーダーも、「すいかと、桃を三つ買ってきて」と言うか、「すいかと桃を、三つ買ってきて」と、読点を工夫すればそれなりに伝わりますよね。(後者はちょっと微妙ですけど)で、「読点の打ち方によっては複数の取り方ができる例」として、昔からよくある次の例を出してみたわけですよ。

「二重にしてくびにかける数珠」これはイメージもわきづらかったようで、結構二通りの解釈を見つけるのに苦労する子がいました。で、もう一つ出してみました。

「ここではきものをぬいでください」

こういう張り紙があったらあなたはどうしますか?と聞いてみて、さらに「二通りの解釈ができるのだけどわかるかな?」と聞き、二通りの解釈がわからない人に挙手させたところ、そこそこの人数が手を挙げました。一人を指名し、「もし読点を打つならどこに打ちますか?」と質問すると、その子は「ここでは、きものをぬいでください」とあるから着物を脱ぐ、と答えました。でさらに追加質問として、「別の所に読点を打ってみたらどうなりますか?」と聞きました。その子は「わかった!」という顔をして

目からウロコの答えを出してきました!

おわかりでしょうか。ここでたいていの子なら「ここで、はきものをぬいでください」と打ち、履き物を脱ぐ、と答えるのですが、この子の答え。

「ここではき、ものをぬぐ」

「ここで吐き、物を脱ぐ」!!!

・・・気づかなかったぁ。三十数年間国語教師をやっていて、初めて「三通りめの解釈」に気づかされたわぁ。もちろんこれもアリですよね?!他にも誤答から新たな発見に気づくことは、国語でありがちですが、これは教師生活で一、二を争う盲点でした。こういう笑えるけど重要な誤答が、たまぁにあるから、国語って教科は面白いと思います。ちょっとした小話ですけど、新鮮な感動を感じたという話でした。どっとはらい。(久々に国語の話ができて、ちょっと肩の荷が下りましたし。)